先日の「第2回MBS新世代漫才アワード」では、惜しくも一回戦でプラン9の五人漫才に破れたが(プラン9恐るべし)、内容は決して悪くなかった。単純にあれはキャリアの差が出ただけであって、南海キャンディーズとしての形は完成に近づいており、このままいけばABCや上方漫才も充分射程圏内である。
南海キャンディーズは、足軽エンペラーの山里亮太(以下山ちゃん)と、西中サーキットの山崎静代(以下静ちゃん)が昨年結成した、今では珍しい男女漫才コンビである。
スローでラジカルな静ちゃんのボケは、相方ですら制御不能になるという不気味な一面を持つ。山ちゃんもイタリア人に傾倒しているせいで風貌が少しとんちんかんだが、甲高い大きな声ではっきりと突っ込むので、ネタにメリハリが出る。
二人とも見た目に特長があるので、当初は出オチを憂慮していたが、舞台を踏むに連れ知名度も上がり、その心配もなくなった。「MBS・・・」では、あの往年の名男女コンビ敏江玲児師匠を彷彿とさせる強烈などつきを見せてくれた。
探りながらでもいいから、もっと場数を踏んで大きくなってほしい。そして、男女漫才コンビの最高峰、鳳啓介・京唄子を超えるのだ。
FLIPPER'S GUITER 「THREE CHEERS FOR OUR SIDE」
Lolipop Sonicとしてロンドンで活動中、サロンミュージック(POP ACADEMYさん曰く、渋谷系の黒幕)に見いだされてFlipper's Guitarとしてデビューした。小山田圭吾と小沢健二、二人の天才が組んだ今や伝説的なバンドである。
ネオ・アコースティックがどうこうというより、何を置いてもシングルの「フレンズ・アゲイン」である。あの佐々木麻美子がゲストヴォーカルとして参加しているのだ。飛びつかないわけがない。しかし、よくよく聴いてみると、佐々木麻美子が参加するくらいだから、ピチカートファイヴと共通点が何かしらあるということであって、後に小山田圭吾がピチカートのアルバムをプロデュースしたりもしている。
ほとんどが英語詞というこのアルバムは、活動の拠点をロンドンに置いていた名残であろう。小山田のヴォーカルは細くて頼りなげだが、青臭い若さがにじみ出ていて、華奢に思えるサウンドはフェイクであることがわかる。
解散後、先に小山田がコーネリアスとしてソロデビュー、遅れて小沢健二もデビューして、女の子の黄色い声援を浴びた。解散直後は、小沢のステージングに不安の声もあったが、ヒットチャートを賑わせたのは小沢のほうであった。小山田はピチカートファイヴやカヒミ・カリィのプロデュース、自身のレーベル”トラットリア”を立ち上げるなどして、幅広い活動を繰り広げた。
二人の天才はその手腕を様々に発揮して、音楽界に新たな波を引き起こした。今後また何を仕掛けて来るのか、楽しみである。
小山田圭吾 公式ウェブサイト http://www.cornelius-sound.com/
小沢健二 公式ウェブサイト http://www.toshiba-emi.co.jp/ozawa/(休止中?)
H30R-10004 POLYSTAR 19890825
長井秀和は天狗の鼻
先日の「平成教育委員会2004夏休みスペシャル」にて。
自分の解答について説明している長井秀和。だらだらと引っ張った挙句、たけしさんに「大したオチもないんだったらやめといたほうがいいよ」とたしなめられる。
再び、解答について今度は簡潔に答えた長井秀和。するとたけしさんに「視聴者は君がいつあれを言うか待っている」と言われる始末。
自分がなぜこの番組に呼ばれたのか、自分のポジションを全く理解していない。
君の代わりなどいくらでもいるし、君より面白い芸人もいくらでもいる。せっかくのチャンスをふいにした長井秀和に、芸人としての未来はない。気をつけろ、斬り!(あーやってもた
GO WEST 「INDIAN SUMMER」
「What You Won't Do For Love」という曲をMTVで観て気に入った。しっとりと落ち着いた曲調の中にも熱いものがある、大人の音だなと思った。しばらくして、その曲がAORの大御所、ボビー・コールドウェルのカヴァーであることを知った。そりゃ大人だわ。
INDIAN SUMMERとは、日本でいう小春日和の意味で、秋や初冬に夏が戻ったかのように暑くなる日のことである。夏が過ぎてしばらくしたある日に、あの夏のような暑さがやってきて、あの夏の出来事を思い出す。アルバムもそんな感じのサウンドである。
サックスのソロがメロウに響く「Still In Love」、トリッキーなカッティングギターで始まるダンサブルな「That's What Love Can Do」、コールドウェルよりずっと大人のサウンド「What You Won't Do For Love」、よくよく聴けば槙原チックな「Forget That Girl」。
10年以上経った今でも、充分楽しめるアルバムである。
GO WEST 公式ウェブサイト http://gowest.homestead.com/
CDCHR1964 CHRYSALIS 1992
FAIR CHILD 「FLOWER BURGER」
フェアチャイルドは、Shi-Shonen解散後に戸田誠司が結成したユニット。YOUはShi-Shonen末期にメンバーだったらしい。今やすっかりお笑い芸人になってしまったが、昔はほんとに可愛かった。
Shi-Shonenのテクノフレーヴァーを残しつつ、ガールポップとして完成したフェアチャイルドは、アイドル上がりのYOUをフロントに、サウンドメーカーの戸田誠司、川口浩和のハードなギターがいいアクセントとなって、ライヴステージでも絶大な人気を誇った。なんといっても最大の魅力は、YOUの高音ヴォーカルにある。
フレンチロリータまではいかないが、少し鼻にかかったような声は、高音部の伸びが素晴らしい。この声でハードなナンバーからスローナンバーまでこなす。
しかしこのバンドも多分に漏れずバンド仲が悪く、川口氏が飲み屋で戸田氏をぶん殴って解散したそうだ(YOU談)。解散後、戸田誠司はサウンドプロデューサーとして、YOUはソロデビューしたがお笑いの世界に引きずりこまれた。川口氏は、どうやら行方不明のようである。
戸田誠司 公式ウェブサイト http://www.thereshegoes.jp/
D32A0424 TENT 19890321
エンタの神様・存在意義のカラクリ
こんなことを言うと三枝師匠が怒ってくるかもしれないが、落語というのは確かに敷居が高い。観るほうもしっかり下準備をしないといけないような、そんな雰囲気がある。加えて、古典落語には古い言葉がたくさん出てくるので、その意味を掴むのも難しい。ということから、落語を観るときは、客にも相応のスキルが要求されると言えるだろう。わけもわからず米朝師匠や文枝師匠の落語を聞いても、もったいないだけである。
予てから古典落語の敷居の高さを憂えていた三枝師匠は、創作落語というジャンルを切り拓き、ネタを現代に合わせることによって、少しでも敷居を低くして、多くのお客さんに楽しんでもらおうとした。それでもやはり、客には最低限のスキルは要求される。落語の内容を聴き、自分の中で物語を再構成しながら、演者と世界を共有する。そうして初めて落語というものが楽しめるのだ。
世の中には、面白くないのに残っている芸人がいる。例えば、リットン調査団がいい例だ。それは、彼らが面白くないのではなく、観る側のスキルがついてきてないということなのだ。つまり、リットン調査団は客を置いてきぼりにして自分たちだけ先に行ってしまっているのである。芸人としては最悪だが、観客に迎合しない、我が道を行くその精神は尊敬に値する。
さて、エンタの神様である。
この間観てて思ったのだが、この番組は、スキル0(ゼロ)の視聴者のためのお笑い番組だなと。つまり、お笑いに関して何の知識もなく、人から伝え聞いたことを自分の中で再構成できない、演者の言うことをテロップの助けを借りてとりあえず右から左へと脳内に通して、面白ければ笑う。そういった視聴者のために存在する番組だとつくづく思った。
観る側に何の苦労もさせない番組というのは、一見すると素晴らしいように思えるが、実は何の役にも立たない。右から左へただ流れていくだけで後には何も残らない。そして残念ながら、この番組で視聴者のスキルは上がらない。
しかし、視聴率があるということは、こういう番組を必要としている視聴者がいるということなので、エンタの神様という番組の存在意義は認めざるを得ない。
高視聴率番組は、どんなに内容が酷かろうと、出演者が使い捨てにされようと、数字を取る限り永遠に続く。エンタの神様を終わらせる方法はただ一つ、視聴者のスキルを上げることである。そうすれば、自分が観ていた番組が、実につまらない、お笑いにとって何の役にも立たない番組であったことに気づくはずだ。
もし、エンタの神様を観て、お笑いに興味を持った方々は、ぜひエンタの神様をステップにして、他の番組でスキルを上げて欲しい。世の中、もっともっと面白いお笑いはヤマほどある。そして最終的に、古典落語を聴いてみて欲しい。そこには、日本の文化としてのハイレベルなお笑いが待っている。
ADVANTAGE LUCY 「ファンファーレ」
手持ちのCDで比較的新しい部類になる。最初に聴いたのは「シトラス」だったが、牧歌的というか、実にナチュラルでストレートに心に響くサウンドであった。アイコのヴォーカルも素直で気持ちのいい声である。
アルバムを通して聴くと、スウェディッシュポップの色がなんとなく感じられた。サウンドはシンプルだが深みがあり、アイコはルーシーのアイデンティティたりえる伸び伸びとしたいい声である。
「カタクリの花」のようなしっとりした曲から、「Smile Again」のような楽しい曲まで、ライヴを中心に力を付けてきたバンドだけあって、偏りのないサウンドメイクはなかなかである。
しかし、セカンドアルバム発売直前に、ギターの福村貴行が脱退、彼は事実上ルーシーの要であったため、バンド活動は以降収束していく。そして昨年11月、彼は持病が悪化し、亡くなってしまった。この記事を書くにあたって、初めて私はその訃報に接した。
今でも元気にルーシーは活動中であるが、そのことがなにより嬉しい。
advantage lucy 公式サイト http://www006.upp.so-net.ne.jp/advantageLucy/
TOCT-24128 EASTWORLD 19990512