怪奇大作戦新シリーズは、実相寺監督も熱望していたらしい。この作品は、氏の遺稿でもある。
「うる星2ビューティフルドリーマー」を思い起こせるプロットと、静かに進む演出が威厳さえ感じさせる。
怪奇大作戦のSFプロットはいくつかある。1話のようにメカニカルなタイプや、この2話のような心霊的タイプなど。前者は巧妙な仕掛けや派手な演出が要求されがちだが、後者は心理的な描写、心情の機微を捉えた細やかな演出が要求される。
本作の演出北浦嗣巳は、実相寺監督の愛弟子とされている。奇しくもBSではこのあとに「京都買います」が放送され、ご本人にすれば何をしてくれんねん、というような心境だろうが、引けをとらないといったら言い過ぎにしろ、なかなか見応えのある作品に仕上がったと思う。
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怪奇大作戦セカンドファイル#1「ゼウスの銃爪」
ぶっちゃけていうと、オリジナルが凄すぎてあまり新作には期待していない。が、怪奇大作戦という私が生まれた頃のコンテンツに、未だにこうして目を向けている人々がたくさんいるということが素直に嬉しい。
さて、その新作だが、まず問題点を挙げておこう。
・牧とノムの見た目が区別つかない。
・エフェクトがあまりにもチープすぎる。
・プロット上、仕掛けにあまり重点が置かれていない。
キャスティングは発表当時から波紋を呼んでいた。私も正直首を捻った口だ。だが、まあそれに関しては大きな問題にはならなかったようだ。
女性がマイクロウェーブを受けて燃え上がるシーン、私はがっかりした。なんて安っぽい映像効果なんだ。21世紀の技術が、40年前のそれに完敗している。
シナリオはまあまあ及第点だった。だが、このコンテンツのメインともいえる怪奇の仕掛けにやや問題がある。
衛星兵器を使ったマイクロウェーブ発信機というのはまんざら目新しいものでもない。それを少年少女がハッキングして使うというのもそうだ。
怪奇大作戦の仕掛けの醍醐味というのは、町工場レベルでやってのけてしまうSFでなければならない。
決して地下組織や、工作員などといった、都合のいいファクターで処理すべきものではないのだ。
BSの放送では、この後「恐怖の電話」「死を呼ぶ電波」「かまいたち」を放送した。ファンとしては嬉しいが、この新作の後に類似ネタを扱っている「恐怖の電話」を持ってくるとは、ほとんど嫌がらせに近い。
そして、「かまいたち」である。目の肥えた視聴者なら、怪奇大作戦を知らなくても新作よりオリジナルに魅了されるのは間違いない。
怪奇に限ったことではないが、改めてシナリオの重要性を再認識させられる。
帰ってきた時効警察
いやあ、楽しみだ。時効警察が帰ってきた。最近、オダギリくんがヘンな方向へ向かっているので心配していたが、帰ってきてくれて嬉しい。
時効管理課に一人新人が入るが、その他キャスト、スタッフ陣も変わらない。
演劇系のスタッフ、キャストは、しっかりとしたドラマを生み出し、安心して視聴できる。
間違ってもゴールデンなんかに行かず、特命係長みたいに深夜固定でシーズン化してほしいものだ。
映画もいいかもね。
スポンサーの責任
あるあるの捏造問題で、関西テレビの社長が辞任した。関西テレビは、日本民間放送連盟から除名され、総務省からも警告という処分を受けた。
下請けが行ったこととはいえ、その監督責任は重大である。氷山の一角という声もあるが、各テレビ局はこれを肝に銘じて、我が身の振りを正してもらいたいものだ。
そして、この問題発覚以降、全く触れられていない問題がある。番組のスポンサーの責任問題だ。
資金を出す側としても、番組のチェックは重要であったはずだ。
この捏造番組のスポンサーであった花王は、その企業イメージが汚れるのを恐れ、さっさと番組を降りただけでのほほんとしている。
資金を提供していたスポンサーとして、何らかのアクションを起こして然るべきではないだろうか。
繰り返すが、あのあるある大辞典2のスポンサーは、花王である。忘れてはならない。
さすらい刑事旅情編
鉄道公安官からの流れを汲む鉄道系刑事ドラマである。関西ではよく再放送され、暴れん坊将軍とともにかなり数字を取っている。
2クールで全7シリーズ製作され、はぐれ刑事純情派とともにアクションの少ない人情派刑事ドラマの基礎を築いた。
ロケの多いドラマで、たぶん製作サイドは大変だったと思うが、旅情編と名の付くとおり旅情たっぷりの脚本と演出が素晴らしい。
主演の三浦洋一は2000年に亡くなっており、存命であれば日本のテレビドラマは幾分か面白くなっていたはずだ。
妹役の相川恵里とのやりとりもほのぼのとしていて、兄妹愛を感じさせる微笑ましいものであった。
現在、最終第7シリーズが朝日放送で午前中に帯で再放送している。
テレ朝時代劇枠消滅
実にショッキングなニュースだ。これで民放から時代劇のレギュラー放送枠が消える。とんでもないことだ。
期末期首などの特番枠での制作は続けるそうだが、太秦の火が消えることになりかねない事態だ。
コンテンツはもっとバランスをとり、各局横並びにならない編成が必要だと思うのだが。
もうそろそろ、視聴率の計測方法を見直すべきなのではないだろうか。
テレビ番組は旧態依然とした視聴率に未だ左右され、スポンサーも制作もそのだらだらとした無限軌道に乗っかっている。
先日のあるある大辞典の捏造問題も、諸悪の根源は視聴率なのである。
もっとインフラが整えば、地上波テレビ局以外でのコンテンツが増え、長年私が夢見ていたテレビの消滅する日が来るのだが。
遠山の金さん
年のせいではないとは思うが、時代劇をよく見る。切っ掛けは鬼平犯科帳だ。殺陣が初めてかっこいいものだと感じた。
前にもどこかで書いたが、殺陣はガンアクションに通じるものがある。いろいろ細部は異なるが、双方とも敵味方が対峙する緊張感があるのだ。
フジの時代劇は残念ながら放送枠がなくなったが、テレ朝の時代劇は健在だ。今クールはビッグネームの復活、遠山の金さんだ。その金さんは暴れん坊将軍だから二度驚く。
金さんと言えば、べらんめえ口調に代表されるように粋でちょっと下品なキャラなのだが、松平健が演じるとどことなく高級感が漂う。
シナリオもかなりリアルで、金さんは潜入捜査みたいな形で悪者の懐に飛び込む。金さんで刺青を見せるシーンも、お約束の見せ場のようなあざとい演出はない。1話などは、敵に袖を掴まれて破られ、仕方なく片袖を脱ぐと桜吹雪が見えるといった感じだ。
暴れん坊将軍が終了した今、金さん=松平健という図式が定着するには時間がかかると思うが、シリーズ化されていくのは間違いないので今後に期待したい。
しかし私の中では、金さん=梅さん、なんだけどなあ。