海と陸の間にあるという異世界、バイストンウェルを舞台に、芸術的な湖川一門の作画と生態的なメカニック・オーラバトラーが、ファンタジックな世界を絶妙に描く。その異世界感は見事で、第16話「東京上空」で現実世界に戻ったときの盛り上がりは素晴らしいものがあった。
がしかし、イデオンのような予定調和とはとても思えない破滅的なラストに、アニメファンからは総スカンを食らった。なまじ題材がよかっただけに、あのラストは実にもったいない。
どうもバンダイがストーリーに口出ししたようで、スタッフはバイストンウェル内で終結させたかったようだ。まったく、スポンサーって奴はありがた迷惑も甚だしい。
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機甲界ガリアン
リアルロボットの雄、高橋良輔がファンタジーに逃げた作品(笑)。ちょうどボトムズの後に製作されたので、スポンサーからはボトムズ色の強い要望が寄せられた。
まず、ローラーダッシュ、パイルバンカー、バニラとココナのようなヒルムカとウインド(千葉ちゃんも一緒)、そして極めつけはほとんどゲスト出演といってもいいくらいキリコそっくりなハイシャルタット。さすがにこれには閉口した。
しかし、伏線全開のストーリーと重厚なメカアクションは、ガリアンワールドを築き上げた。長距離支援型のモノコットの射撃シーンはなかなかである。
残念ながら数字が悪く、4クール予定が半分で打ち切られた。その後、OVAでフォローするという定番コース。関西地区では日曜の朝7時から放送していたため、半年打ち切りでほっとした感もある(マクロスは午後1時からやってたっけ。だからオタクは外へ出られないんだよ)。ファンタジーと見せかけて実はハードSFという、高橋節を描けなかったのは残念。
世代交代
先日、ちょっとショッキングな発表があった。ドラえもんの主要スタッフが放送25周年を期に交代するというのだ。もちろん、声優陣もである。日本を代表するアニメの一つであって、これだけ長い間お茶の間に親しまれたドラえもんの声が変わるというのは、そう簡単に済ませられる問題ではない。
声優は、声の芝居なので歳を重ねて容姿が変わっても仕事を続けることができる。声は歳をとってもそれほど変化はない。事実、70歳を過ぎた声優が、2歳3歳の子供の声を演じることもできるのだ。長く演じられるからこそ、息の長い人気シリーズを生み出すことができる。
だが、アニメのキャラクターと違い、声優は確実に歳をとる。歳をとった先には、人間としての死が待っている。誰でもそうだ。世代を超えて愛されるキャラクターも、声を演じる方はどこかで世代交代をしなければならない。
これは、ドラえもんに限らず、サザエさんやルパン三世など他の長寿シリーズにも言えることだ。慣れ親しんだ声が変わるのは戸惑うかもしれないが、決して避けて通れないものなのである。世代を超えて愛される人気シリーズの宿命とも言えるだろう。世代交代の先に何が待っているのか、まだ誰も知らない。
次世代ドラえもん声優陣は、間違いなく重圧に押し潰されるだろう。視聴者がどこまで寛容になれるかが鍵だが、新しいスタッフにはものまねではなく、自分たちのドラえもんを創り上げていってほしい。
さて、四代目となるドラえもんは誰があてるのだろうか。とりあえずスネ夫は千葉繁、しずかちゃんは渡辺菜生子あたりと睨んでいる。のび太は千秋なんかどうだろう。ジャイアンも意外と適役がいない。ダミ声というのは絶対条件であろうから、郷里大輔あたりか。やはり問題はドラえもんである。一般公募やオーディションも悪くないが、なまじ中途半端な声優や素人を立てれば、プレッシャーで潰れるのは間違いない。肝の座った舞台女優あたりから選ぶのはどうだろうか。次の25年を担うという意味から考えると、年齢は50歳以下だろう。どういった人選になるかは全く予想できないが、国民が納得できるレベルには持っていってほしいものだ。
機動戦士ガンダム
さて、今更何を書いたらいいだろうか。
この作品に出会わなかったら、今の私の60%はなかったと思う。60%がガンダムなのではなくて、ガンダムから派生したいろいろな物事が、60%なのである。
私は、辛うじて本放送をリアルタイムで観ることができた。小学校4年生だったと思うが、一番覚えているのが迫撃!トリプルドム、マチルダ中尉の死ぬ回である。いろんな記憶が上書きされているのではっきりとは思い出せないが、それほど熱中していたわけでもなく、観たり観なかったりでまだテレビより友達と遊ぶ方が楽しかったんだと思う。
ただ、プラモデルは激烈にハマった。それまでもプラモデルは作っていたが、ガンプラが出てからはもうガンプラ漬けである。ミリタリーや車などには目もくれなかった。
あれから25年、未だにプラモデルが売っているというのは凄い。これも偏に、スポンサーであるバンダイの努力(しがみついてるとも言うが)のお陰であろう。クローバーは今頃臍を噛む思いに違いない。
私も、稚拙ながらインサイドストーリーというものを書いている。これだけガンダムに世話になったのだから、少しでもガンダムのために何かしたいなというのは正直なところである。そして行く行くは、何らかの形でガンダムの制作に関われたらと思っている。
そして、本物のガンダムの完成を見ながら死ねればなあと、薄ら思っている次第だ。
北斗の拳
この作品のために、我が家にビデオデッキの導入を急かしたのは事実である。まだハイファイが高級機だったころの話だ。テレビコードギリギリで破裂する敵の様子をぜひコマ送りで見たかったのだ。しかし、よくもこんな作品をゴールデンタイムに放送していたものだ。今なら不可能に違いない。
確か当時、スプラッターホラーのブームが来ていたような気がする。内蔵飛び散るあれである。まさか北斗の拳がそのブームに乗ったわけではないだろうが、相手を殴って倒すのではなく、秘孔を突いて内部から破壊するという発想は素晴らしい。リアル志向で勧善懲悪ものが減っていた時代、これだけ完膚なきまでに悪を倒すケンシロウの姿は勇ましかった。
作画も東映動画だけあって常にハイレベルに保たれ、見やすい作品になっている。加えて、神谷明の起用は他に選択肢がないほどピッタリであった。この作品は彼の代表作の一つにもなっただろう。
199X年はとっくに過ぎたが、今なお沸々とどこかで噂を聞く、北斗の拳である。あたぁーっ。
重戦機エルガイム
全国のアニメファンがその一挙手一投足に注目していた富野由悠季。ダンバインの不甲斐ないラストを受けたのか、エルガイムでは主導権を永野護に譲った。彼の世界観が存分に発揮され、富野色はかなり薄められた。
ずんぐりむっくりのメカとキャラに慣れていた我々は、永野の創り出す流麗なメカニックや個性的なキャラクターに翻弄され、また虜にさせられた。中世ヨーロッパのエッセンスが漂うその世界観は、エルガイムならではのものである。
その斬新なメカニック故、スポンサーのうけはあまり良くなかったように思うが、それほど影響はなかった。それもそのはず、このエルガイムの後には、あのビッグタイトルが潜んでいたのだ。だから黙っていたのだろうか。
劇中に登場するメカ、ヘビーメタルが使用する、背丈程もある射撃兵器バスターランチャーは、後に他のいろいろ作品でも登場するほどの人気となった。リアルロボットと謳っておきながら、こんな取り回しにくい兵器などナンセンスなのだが。
蒼き流星SPTレイズナー
サンライズのリアルロボットものは、この作品で一応の区切りをつける。テレビアニメというコンテンツが限界に来ていたのだ。時代はオリジナルビデオアニメ、OVAへとその主流を移していく。
毎週その回のセリフを挟むオープニングは、スタッフ内では不評だったらしい。つまり、お金がかかるのだ。しかし、ファンには好評であった。作り手と受け手の温度差はかなり開いていた。
ネタばれになるが、ロアンの裏切りの寝返りは、最後の最後までハラハラさせてくれた。たぶん寝返って味方に戻ることはわかっていたが、ぎりぎりまでやっぱりだめなのかと思わせてしまう演出は素晴らしい。
ボトムズで育ったメカニック系の作画もかなりパワフルである。あのスカルガンナーとの戦闘シーンは秀逸であった。この作品は谷口守泰作監なので、メカのいい日はキャラが悪い、なんてことはなかった。
この作品も打ち切りの影響で話がまとまらず、物語の結末はそのOVAに委ねることになる。