CLOUDBERRY JAM 「Blank Paycheck」

何かで録画した番組に、無性に気になる曲があった。人にも聴かせたりしたが、全然わからなかった。当時、カーディガンズを始めとするスウェディッシュポップが台頭していて、なんとなく曲調が似ていたので当たりをつけて探していたが、なかなか見つからなかった。
そんなある日、とても似ている曲調のアルバムを見つけた。忘れもしない、大阪阿倍野のHMVだった。探している曲はなかったが、かなり似ていたので、一枚前のアルバムを買ってみた。ビンゴ。
音は確かにチープかもしれないが、三分間の中に一杯詰まった良質のポップサウンドである。少しトーンが低いヴォーカルも無理に弾けることなく落ち着いて聴かせてくれる。
バンドは解散していたらしいが、今年また再結成し、つい先日日本でライヴもやったそうだ。少し音を聴いたが、なんとなく落ち着いたというか、丸くなったというか、いい意味で大人のサウンドになっている。興味のある方は公式サイトへ。
クラウドベリージャム 公式ウェブサイト http://www.cloudberryjam.se/
NONSCD14 NONS 1995

夢を諦めた芸人達

継続は力なりと言うのは容易い。しかし、そこにはいろんな事情もあるだろう。みんな最後には笑いたかったはずだ。惜しまれたかどうかは知らないが少なくとも私はそう思った、今は無きお笑い芸人達を書き留めておく。

ジャリズム
NSC10期生の渡辺鐘(あつむ)と山下栄緑(しげのり)が、91年に組んだコンビ。コントをメインに、渡辺の癖のあるボケキャラを山下が鋭く突っ込む。
ダウンタウン後の2丁目を千原兄弟とともに引っ張っていったが、98年に解散。渡辺は構成作家として活躍、山下はダウンタウン松本の舎弟に転がり込む。今年、コンビを復活したそうだが、昔のキレはなかった。バカドールシアターは必見の価値あり(メディア化求む)。

ぴのっきお
チャンバラトリオの山根伸介を師匠に持つ新井正浩(タコ)と、いかりや長介に弟子入りしたことがある清水共一(清水)が、88年に組んだコンビ。しゃべくり漫才が基本だが、ネタ後半にショートコントを挟む。このショートコントが秀逸。清水のラジカルなボケが鋭く、若手芸人にも人気があった。
残念ながら2000年に解散、清水はその後吉本新喜劇に入って活動している。

みのなが
NSC11期生の美濃昌樹と長岡大祐(ゆうすけ)が92年に組んだコンビ。しゃべくり漫才の王道を歩み、将来はオール阪神巨人クラスにも成り得る実力派だったが、2000年に突然解散。二人とも引退した。確かに花はなかったが、漫才の腕はあっただけに惜しい解散である。


NSC10期生の遠藤敬と宇野誠が91年に組んだコンビ。2丁目劇場を中心に、宇野のシュールで不敵なキャラと遠藤の緻密なネタで人気を博した。だがコンビ仲の悪さは公然の秘密で(実際オンエアにもバンバン乗った)、それが災いして97年に解散した。宇野は引退、遠藤は作家として活躍している。

スミス夫人
NSC8期生の灘儀武と松村博司が89年に組んだコンビ。松村の強烈でアクの強いキャラと、灘儀のやたらテンションの高いツッコミで舞台を狂わせ惑わせた。松村のキャラはハンパではない。トークでもあまり地を出さず、ある種不気味な存在でもあった。ということはあれが地なのか。
01年に解散、灘儀はTHE PLAN9として活躍中。

プラスチックゴーゴー
NSC10期生の南郷和幸と蓮見正雄が91年に組んだコンビ。若さに任せたスピーディな秒殺ショートコントがよかった。勢いに乗っていくかと思われたが、97年に解散した。
蓮見は現在作家として、南郷は南郷伯爵としてピンで活動中。

しましまんず
記事を書こうと思ったらまだ解散してないようだ。お詫びに藤井さんの公式サイトを(FLASH必見)。
http://www.nocturne-jp.com/fujii_teruo/

夢を諦めたとはいえ、作家に転向する者も多く、やはりお笑いを捨てきれないのだろう。そう、一度芸人を目指したからには、カタギには戻れないのだ。

すいか

今年は2回ほど食べたが、甘くておいしかった。高温少雨できっとよくできたのだろう。まだまだ暑そうだからもう一回くらい食べたいものだ。
果物屋やスーパーで、小玉のすいかがやたら目につくが、少子化、核家族を反映してよく売れているそうだ。確かに、大きなすいか丸々一個では持て余すかもしれないが、かといって小玉のすいかをちまちま食べても、夏の醍醐味は半減するのではないか。
半月型に切ったすいかを、口の周りべたべたにしながらかぶりつくのがすいかというものである。それが夏というものである。いくらライフスタイルが変わったからといって、季節の感じ方まで変えるというのはどうだろうか。
なんかこう、安易な考え方というか、思考の伴わない選択が増えているような気がする。尤も、年を追うごとに季節感がだんだんなくなってきているのは否めないが。
ついでにひとつ。すいかにまだ塩をかけて食べている方、もうそろそろおやめになったほうが。

加藤いづみ 「星になった涙」

人間の出会いもそうだが、音との出会いもまさに一期一会である。逃せばもう永遠に出会うことはない。加藤いづみとの出会いは、ふいに目覚めた朝の情報番組である。いつもなら昼近くまで起きているのに、その日はなぜか目が覚めてしまい、テレビをつけた。そこで歌っていたのが加藤いづみだった。
切ないメロディーと彼女の声が気に入って、そのままCDを買いに行った。全曲通してミディアムかスロー、悪く言えば暗い、ダウナー系のサウンドだったが、加藤いづみのアイデンティティがしっかりと音の中にあった。それは、プロデューサー高橋研の手腕でもあった。
中村あゆみをスターダムに押し上げ、数々のサウンドプロデュースを行ってきた彼なくしては、加藤いづみも存在し得なかっただろう。一時期、サウンドがポップに傾いたアルバムがあったが、やはり加藤いづみはダウナー系がいい。ご本人はとても明るくかわいい女性であるので誤解のないように。
情報収集で公式サイトに久々に立ち寄ったが、大きな瞳と丸い頬にぐさっとやられた。たぶん同じ歳だったと思うが、昔と全然変わらず実にかわいい女性である。
加藤いづみ 公式ウェブサイト http://www.katoizumi.com/
PCCA-00374 SEE・SAW 19920619

MATT BIANCO 「SAMBA IN YOUR CASA」

日産のティアナという車があるのだが、そのコマーシャルソングに、このアルバムに収録されている「What a fool beleaves」が使われている。ドゥービーブラザーズのカヴァー曲なのだが、オリジナルよりしっとり聴かせてくれる。マットビアンコらしくないといえばそうだが、ノリノリな曲ばかりではないのも間口の広さを窺わせる。
このアルバムを買ったのは、トップチューンの「You're the rhythm」のビデオを観てから。まだヒップホップがミュージックシーンを席巻する前、ダンスミュージックと言えばユーロビートだった頃だ。
ラテン系のフレーヴァーを取り入れたサウンドは、今やマットビアンコというジャンルを作り上げてしまった。口にするのは気が引けるが、お洒落なソウルサウンドという触れ込みで、息の長い人気を誇っている。
日本にもよくツアーで来日するが、大阪ミナミのクラブに毎回お忍びでやってくるのは本当らしい。私はそんなキャラクターじゃないので、指をくわえて「へえ」と言うしかないが。
今、最新の情報をググったら、顎がはずれた。なんと、オリジナルメンバーが復活している。そう、あのバーシアもだ。詳しくはリンク先を見ていただきたい。あーびっくりした。
マットビアンコ 公式ウェブサイト http://www.emarcy.com/bianco/
WMC5-447 WEA 19911128

史上最悪のお笑い番組「エンタの神様」がヤフーのニュースにあったので

捨て置こうとも思ったが、少し触れておく。以下、記事。

プロデューサーに聞く「エンタの神様」好調の秘密
若手お笑い芸人ブームといわれるなか長井秀和(34)、はなわ(28)、青木さやか(31)、友近(31)らが育った日本テレビ系「エンタの神様」(土曜午後10時)が好調だ。プロデューサーで、数々のヒット番組を送り出してきた五味一男氏(48)に舞台裏を聞いた。
「投稿!特報王国」「マジカル頭脳パワー!!」などのヒットバラエティーで知られる五味氏が手がけ、昨年4月にスタートした「エンタ…」。当初は歌+芸のコンセプトだったが、その後、毎回約10組の芸人が登場し、次々とネタを披露するだけの形態に。これが土曜夜の激戦区で平均視聴率15%という人気ぶり。
まさに芸人のネタが勝負の番組だけに、出演者の選考も真剣。五味氏は毎回、お笑いライブなどのテープ100-300本をチェック。目についた芸人も約半年育ててから出演させるという。
この間、「選んだ芸人にただ時間を与えてネタをやらせるだけということはしない。全国区で分かりやすい笑いになるように、一緒に笑いを作っていく」と、登竜門ならではのマンツーマン。
また、「コンビの場合は、メジャーでないと『どこの2人が話してるんだ?』と視聴者も感情移入できないが、“ピン(一人)芸人”はメッセージを送る相手(客)が明確で、見る方も“ツッコミ視線”で見られるから」と、ピン芸人が多いのも特徴で、ブームを後押ししている。
現在、番組では“ギター侍”こと波田陽区(29)がイチ押しだが、五味氏は「今後、新しいスタイルのお笑いもお見せできるでしょう」と次なる芸人の発掘、ブレークにも自信を見せた。
(夕刊フジ) – 8月21日13時4分更新

という記事である。
まず訂正。友近はこの番組で育っていない。友近を育てたのはバッファロー吾郎である。それに、テレビで芸人は育たない。芸人を育てるのは舞台であり、客である。
さて、「エンタの神様」が高視聴率なのは、番組の内容以外に裏番組の影響もある。TBS系は「ブロードキャスター」、フジ系は映画、テレ朝は「土曜ワイド劇場」と、二時間ぶち抜きものが二つもある。それに若者の見る番組がない。土曜の夜とはいえ、遊びに行く若者ばかりではない。家でテレビを見ているのもいるだろう。加えて、前の番組はジャニーズ系やハロプロ系のタレントが出ているドラマがある。ぶら下がり効果は絶大だ。そこに、「エンタの神様」はうまく付け込んだ。
”芸人のネタが勝負”とあるが、テロップで邪魔(援護か?)している限りはネタで勝負とは言えない。ネタで勝負するならテロップをやめよ。それとも、テロップもネタの一つか。五味氏の芸人選びはプロデューサーとして当然の仕事である。別段書き立てることでもない。
”全国区で分かりやすい笑い”と来たか。まさに東京キー局の考えそうなことだ。あいつらは、全国に同じような人間が住んでると思ってる。これこそ私が危惧している感性の画一化である。服や色に流行があるのも、そのほうが作りやすいし売りやすいからである。送り手の都合のいいように事は運ぶようになっている。一億総白痴化は、相当進んでいるようだ。
次のセリフが一番引っかかった。
「コンビの場合は、メジャーでないと『どこの2人が話してるんだ?』と視聴者も感情移入できないが、“ピン(一人)芸人”はメッセージを送る相手(客)が明確で、見る方も“ツッコミ視線”で見られるから」
視聴者のみなさん、バカにされてますよ。どっちが喋ってるかわからんやろってさ。つまりこれは、同じ無名で腕のない芸人なら、コンビよりピンのほうが扱いやすい、ということである。とても本気でお笑い芸人を育てているようには思えない。ピン芸人なら、なぜ落語をしない。落語はまさに客と1対1だ。落語では数字は取れんか。明らかにテレビ用の芸人を生産しようとしている番組の姿勢が窺える。いっそ、視聴率を重視して何が悪い、と開き直って欲しい。
批判記事を書き始めて、スタッフの考えを知りたいと思っていたのだが、タイミングよくこの記事を見つけた。しかし、番組をろくに見ないで批判するのもなんなので、来週あたり我慢してちゃんと見てみようと思う。最後まで見通せるか自信はないが、他の番組では見かけないギター侍も見てみたい。
じゃ、また来週(笑

ショートカット症候群

「アパートの鍵貸します」という映画がある。名匠ビリー・ワイルダーが、ジャック・レモン扮する平凡なサラリーマンの悲哀を描いた作品だ。この映画のヒロインであるシャーリー・マクレーンに、当時の私はぞっこんだった。当時といっても高校生だったが。
初めて観たときに、なんてかわいい女性なんだろうと思った。ルックスももちろんそうだが、男に甘えるでもなく、媚びるでもない、しっかりと芯の通った性格で、攻めどころがないかと思えば、ある一点が非常にもろかったりする。単純に、ああこんな女の人いいなあと高校生ながらに感じたものだ。
べたべたと甘えて欲しくないけど、二人でテレビでも観ているときは、ソファにぴったりくっついて座っている。大人になったらそんな恋愛をしてみたいなと、この映画を観ると今でもちょっとドキドキしてしまう。
ジーン・セバーグは、もっとストレートだった。ゴダールの「勝手にしやがれ」を観たのは大学に入ってからだった。美しいという形容と、可愛いという形容が二つとも存在するのが彼女である。実に多面的な魅力を持った女性である。
ゴダールでなければ、ああはならなかっただろう。おとぎ話のヒロインに、ジーン・セバーグは務まらない。内面よりも外面から受ける印象を描いたからこそ、ジーン・セバーグの魅力は、ストレートに私へ飛び込んできた。女友達には最高の女性である。
ジュリエット・ビノシュに至っては、盲目である。問答無用である。「汚れた血」の眠そうな目がたまらない。100%の女の子がそこにいたのだ。だがあまりに理想過ぎて、存在としては遠い憧れのようになってしまった。たぶん現実には永遠にお目にかかることができない女性像だろう。
女性の魅力が髪型一つで決まるわけはないが、彼女達がロングヘアだったなら、事象が成立しなかったのは然りである。こんなことを書いておきながら、最近は柴崎コウもいいなあと思っている私であった。