裏切りの機械達

誤動作したエレベーターに挟まれた死亡事故が起こった。シンドラー社という昇降機メーカーは、世界でもトップクラスのシェアを誇る。
事故の原因についてシンドラー社は、メンテナンスを請け負った日本の会社や行政に責任を転嫁している。それについては別段珍しくもなく、欧米人の対応として当然だ。彼らが決して自ら責任を負うことはないだろう。
問題は、人間があまりにも機械を過信していることにある。
エレベータなど人が操作するような機械は、シーケンサと呼ばれる制御装置でコントロールされている。昔はそれこそ電気的に制御していたが、今なら簡単なコンピュータとプログラムが使われている。
エレベータの機械的な部分に例え問題がなくても、このシーケンサがおかしければ誤動作の原因になる。そしてそれは、往々にして人為的ミスの産物である。
機械に罪はない。作った人間、使う人間如何によって、機械は狂気と化すのだ。
インターネットのインフラが整備され、ネット家電なるものが普及しつつある。
パソコンでさえセキュリティの問題が解決されていないのに、冷蔵庫や洗濯機までがハッキングされて暴走する可能性を孕んだまま、技術だけが先に進んでいく。
あなたの傍にいる愛玩ロボットが、真夜中にその目を赤く光らせて睨んでいることに、あなたは気づいているのだろうか。