知り合いの女の子から、コンパニオンの仕事を始めたのでプロフィール用の写真を撮ってくれないかと話がきた。軽い気持ちで受けたが、直前になってそれがかなり重要な写真であることがわかって、私は正直ビビった。
隠さずに言おう、下心はあった。ああ、あったさ(開き直るな)。しかし、それを聞いてから、こいつは真剣にやらないと彼女のために悪いなと思った。もしかすると、私の写真が彼女の運命を左右してしまうかもしれないのだ。
そんな歳になったのかと、思った。そんな責任を負えるのかと、自分に問うた。ほんの一瞬だが、断ろうかとも思った。
撮影当日、ファインダーの中の彼女は、明るくてかわいかった。予算も省みず、四本のフィルムが回った。寒風吹きすさぶ中、三ヵ所のロケ地を移動したが、私の早足に彼女はついてきてくれた。
たった二枚の写真のために、私も彼女も、持てる力を全て出そうとしていた。結果がどうでるかはわからないが、フィルム代の封筒に同封されていたメッセージカードを見て、私は思った。彼女のためにも、いい大人になろうと。
(みかつう9802号)
投稿者: みかつう
戦闘メカザブングル
富野喜幸がガンダムで注目された後なので、ザブングルは大いにファンや業界を沸かせた。ガンダムのようなリアルロボット路線を歩むかと思いきや、意外にもギャグものであった。丸顔の主人公がその証拠である。
ではリアルではなかったかといえば、ウォーカーマシンなどは実にリアルで、そのまま街角の工事現場に置けるくらいディテールが細かかった。しかもハンドル操作で動くのだ。
その分、主役メカのデザインがギャグのように浮いてしまい、物語の途中で交代するという前代未聞の出来事が起こってしまう(後にサンライズの定番となる)。
私が触れたいのは、銃の話である。放送当時はあまり銃について詳しくなかったが、後にザブングルがかなり銃について細かい設定や描写があるというので、改めて見直してみた。実は、登場キャラ一人一人にお抱えの銃があったのだ。
例えば、主人公のジロン・アモスはブローニングHP、ラグ・ウラロはHK・P7、ブルメはエンフィールド、チルはスコーピオン、ダイクはキャリコ、キッド・ホーラはモーゼルミリタリー、ティンプはもちろんコルトSAAなど、まさにマニアでしかわからないような設定になっている。そういえば、オープニングでは各キャラが発砲するカットがあるし、ジロンの持つブローニングHPのアップショットもある。興味を持って観ないと気づかないものだ。
残念ながら、本編では活躍の場をウォーカーマシンに譲るわけだが、制作に関わったガンマニアはきっと歯痒かったことであろう。
MTJ #1
音楽系ネタが限界に来ているので、私の得意な80年代~90年代のビデオクリップからアーティストを抜粋してレビューしてみたい。
「Midnight Kids」 中村あゆみ
まだこの頃はオールディーズブームを少し引きずっていた感があって、中村あゆみもどちらかといえばそんなイメージがあった。実際ビデオも埠頭やそれっぽい店で(本牧あたり?)ロケーションされている。内容は至って普通で、歌って踊るだけ。ご本人はまだまだ現役で活動していて、最近テレビで拝見したが全然変わらず、ものすごくいい女になっていた。あれから20年も経っているというのに!
「夏の日」 オフコース
オフコースは、精力的にビデオクリップを制作していた。それもドラマ仕立てで、小田和正が監督し、もちろんメンバー全員が出演する。この曲はゲストに田中美佐子を迎え、大間ジローを主人公に、コミカルで淡い恋物語であった。小田監督の手腕はなかなかなもので、色調を抑えた映像やソツのないカット割りなど、一つの映像作品としても充分見応えのあるものになっている。
「狂い咲きピエロ」 爆風スランプ
コミックでパンキッシュなバンドであった爆風スランプ。デビュー当初はギャグものばかりではなく、この曲のようにちゃんとした(?)曲もあった。こんなダークサイドな部分がなくなってから、爆風スランプの魅力は半減したように思う。ライブシーンの映像だが、メリハリのあるライティングが各メンバーをクールに映し出す。ちゃらけてないパッパラー河合はなかなかお目にかかれない。
「十七歳の地図」 尾崎豊
そう、80年代中期の大型新人である。外面は目一杯ツッパっているくせに、サウンドはやたら優しかったりする。今の高校生がこの歌詞を見たら、きっとSFのように驚くだろう。ライブハウスのステージ映像を中心に、蜂などのコラージュ的なカットが被る。尾崎豊もビデオクリップはかなり凝っていた。いわゆるプロモーションビデオ全盛の時代である。
「MA TICARICA」 立花ハジメ
元プラスチックス、ビジュアルアーティストとしても名高い立花ハジメのビデオクリップは、コンピュータグラフィックス。といってもこの時代、主流は8ビット機でCGと言っても動きのほとんどないチープな(今から思えば)ものである。それをカバーして余りあるのがデザインセンス。さすがである。
装甲騎兵ボトムズ
リアルロボットアニメの最高峰である。寡黙な主人公、全裸のヒロイン、重厚なBGM。子供の入る隙はない。
ボトムズがリアルロボットたらしめたのは、主役メカの設定であろう。これまでのロボットアニメは、主役となるロボットが特定の一台で、最強もしくはトップモデルであり、無類の性能を誇るものであった。しかしボトムズの主役メカであるATは、戦車や戦闘機などと同等の兵器であり、搭乗者によって能力の差はあるものの、基本的には量産兵器である。よくぞスポンサーが付き合ってくれたものだ。タカラには感謝したい。
物語の主人公であるキリコは、そのATをまさに兵器のようにぞんざいに使い捨て、ときにはカスタマイズして乗りこなす。今まででは見られなかった光景だ。
特定の主役メカ不在という状況でも、ボトムズのメカは実に存在感があり、何よりもかっこいい。中でも、炸薬で作動するアームパンチ、足裏のホイールを回転させて高速で移動するローラーダッシュ、そのローラーダッシュ中に足首から楔を地面に打ち込んで停まるターンピックといったアクションは、独創的でまさにロボット兵器の魅力をふんだんに描き切っている。
炎と煙、男と女、野望と策略。ドライでありながらもホットな人物描写も素晴らしい。来年の私の誕生日にDVDボックスが発売予定である。後世に残しておきたい作品だ。
あまり知られていないと思うが、主題歌を歌うTETSUとは、織田哲郎氏である。
陣内智則
とうとう資生堂がスポンサーを降板することが決定した日テレの極悪演芸番組「エンタの神様」にも出演しているので、お笑いに疎い人でも見たことがあるかもしれない。
あんな番組に出ているから、彼についてお笑いをよくわかってない人がよくわかってないブログとか書いているので、少しフォローしておきたい。
NSC11期生、92年にリミテッドを結成。2丁目劇場でそこそこ活躍するが、劇場の壁に書かれた「リミテッドおもんない」というファンの落書きによりわずか3年で解散。いろいろと悩んだ挙げ句、やはり芸人としての道を歩むことを決意する。
しかしピン芸人の道は厳しく、舞台でも受けない日々が続いた。コンビ時代ツッコミだったこともあり、それを活かしたネタはできないかと紆余曲折を経て、ボケネタを事前に用意し、それを舞台で流して本番で突っ込むという、独自のスタイルを確立した。
ネタの映像は、構成作家の原田専門家の協力で事前に収録。もちろん、収録には立ち会い、ネタも本人が書いている。ここは声を大にして言っておきたい。
最近、ネタもんのDVDも発売され、上り調子といったところである。ただし、テロップはないのでエンタの神様視聴者は少々わかりにくいかもしれんなあ。
割とルックスがいいので、女性問題でのトラブルだけは注意してほしいものだ。田丸麻紀とは結局ノリだけで終わったらしいが・・・。
はてなダイアリーに陣内孝則がいとこってあったけど、ほんま?
おから
豆類はかなり好きである。豆ごはんは言うに及ばず、煮豆や枝豆など、飯の次は豆というくらいである。あ、納豆は別。
だが、なぜかおからだけは食べなかった。食わず嫌いだと思うのだが、豆腐の絞りかすという、つまりは全くうまみの残っていない食べ物なのであって、そうまでして食べるのかということだ。
先日、大学時代の有志と飲みにいったときに、付け出しで小鉢に盛られたおからが出てきた。私は酒がほとんど飲めないので、すぐに箸をつけたわけだが、これが甘くておいしかった。
程なくして、我が家の食卓にもおからが上った。今まで全然食べなかったが、一口食べるとご飯の進むこと進むこと。おかんに「弁当に入れて」と言ったら、「日が経ってるからあかん」と言われた。残念。
我が家のおからは、うっすらとだし色で、刻んだネギとニンジン、ちくわが入っていたように思う。かすかすっとした食感はまだ慣れないが、一つ嫌いな物が減って嬉しいのは正直なところだ。
ガサラキ
ダグラム、ボトムズなどを手掛けた高橋良輔が手掛けたリアルロボットアニメの集大成。日本を舞台に、能をモチーフにしたポリティカルアクションである。
結論から言おう。リアルロボットは、結局リアルではなかったということだ。二足歩行兵器を現実に持ち込むのは、やはり必然性がないのである。歩兵のパワーアップは既に米陸軍で実戦投入されているが、乗用兵器としてのロボットは、恐らく登場しないと思う。
リアルロボットのリアルとは、現実にできそうなという意味ではなく、荒唐無稽ではないという意味だ。マジンガーZやゲッターロボを思い浮かべていただくと、違いがわかると思う。それらに比べれば、ガンダムやダグラムなどは幾分か現実的である。
しかし、本当の意味でのリアルロボットを追求したとき、ロボットはリアルかというパラドックスに陥る。ロボットは、まだまだ空想の産物なのである。
ガサラキからタクティカルアーマーをなくしてしまえば、かなりリアルな面白い物語になったと思う。しかしまた、タクティカルアーマーのないガサラキも、成立しない。
ガサラキは、図らずもリアルロボットアニメの終焉を飾った。近い将来、家庭にペットロボットが普及し、工事現場で二足歩行機械が作業する頃、真のリアルロボットアニメが登場することだろう。