時代劇の未来

もうすぐ「剣客商売」が始まる。
藤田まことさんが亡くなって以降、まさか新作が製作されているとは思わなかった。
もちろん、キャストはそうとっかえだ。スタッフは同じかもしれないが、どんな感じに仕上がっているのか楽しみである。
テレビのレギュラー放送から時代劇が消えて久しい。
現代劇と比べてコストパフォーマンスが悪いのがその原因だが、安っぽい役者に視聴者迎合のシナリオばかりの下らないドラマに投資するくらいなら、時代劇のほうがいくらかマシである。
そう、役者の問題も深刻だ。
時代劇では若手がいない。育成もしていない。
芝居も所作が現代劇と違うので難しいし、まして殺陣ともなれば素人では無理だ。
今活躍されている大御所がいなくなってしまえば、時代劇はそれこそ未来永劫この世から消えてしまう。
なんとかならないだろうか。
時代劇が決して視聴者離れしているとは思えない。現にうちの両親は大好きだし、スカパーの時代劇専門チャンネルをもう5年以上観ている。
過去の遺産に頼るのもいいが、新しいコンテンツを開拓していかないと、本当に時代劇はこの世から消えてしまうのだ。
なんとかしないといけないのだが。

新五捕物帳

何の変哲もない昔の時代劇なのだが、何かが違う。
脚本が緻密だったり、時代考証がちゃんとしてたり、中でも特筆すべきは杉良太郎の鬼気迫る熱演ぶりだ。
時にはヤクザ一家に殴りこみ同然に、相手を拳でぶちのめす。
かと思えば、お上に直訴して取り巻きに殴られ蹴られ、それでも執拗に食い下がって、一人の庶民を救う。
感情を剥き出しにしたその演技に、ついつい見入ってしまう。
私はその時代を知らないはずなのだが、どこかリアルな時代劇なのだ。
Wikiを見れば、なんと5年も続いた時代劇だ。ゴールデンタイムに5年も放送するとは、今では考えられない。
ってことはあと5年近く見られるのか。

太秦の灯は消えた

水戸黄門が終了した。
もう制作しないという意味の終了だ。
一つの番組の問題ではなく、これで民放から時代劇が消えることになる(全国ネット)。
時代劇といえば、制作は主に京都だ。
映画や単発ものではまだ撮影があるが、やはりテレビのレギュラー放送は大きい。
これから高齢化が進むというのに、時代劇というお年寄りのキラーコンテンツを無くしてどうしようというのか。
確かに、現代劇と比べて時代劇は制作費がかさむ。京都で撮るなら尚更だ。
(ん?待てよ、テレ朝のあの京都シリーズはどうなんだ??)
テレビというコンテンツ産業の構造そのものを改革しなければ、太秦の灯は消えたままだろう。
京都にいながら何もできないとは、歯痒い限りである。