ロバート・キャパ写真展

未公開のカラー写真が新たに発見されたらしく、何やら世界初公開という触れ込みで写真展は開催されていた。ぶっちゃけ、なんのことはない、未公開というだけのものだ。
コマを埋めるだけの、当時の状況を伝えるカットがずらっと並んでいて、まあ、平坦な印象でしかなかった。
それでも、キャパの写真をちゃんと見たことがなかったので、見に行った価値は大いにあった。できれば平日の人の少ないときに行きたかった。ずらっと並んで一つ一つ写真を見ていくのは実にナンセンスだ。
写真は難しい。常に流れている時間の一瞬を切り取るわけだから、ほんの少しずれただけでもうそれは違うものになる。
キャパの写真で最も有名な「崩れ落ちる兵士」でも、ほんの一瞬、シャッターが遅かったり早かったりしたら、ピューリッツァー賞を獲るほどのカットにはならなかっただろう。
シャッターチャンスをいかにものにするか、写真で飯を食うということはそういうことである。

ロバート・キャパ<決定版>icon